あなたが飲んでいるジェネリック薬が、本当に正しい成分を含んでいるとは限らない。近年、世界中で偽造ジェネリック薬の流通が急増しており、日本でも無許可のオンライン薬局や個人輸入を通じて偽物が入り込んでいる。偽薬は、正規のジェネリックのように見えるが、有効成分が全く入っていなかったり、代わりに有毒な物質が含まれていたりする。これにより、糖尿病や肥満治療に使われる薬が効かなくなり、命に関わる事態が実際に起きている。
偽造ジェネリックとは何か
正規のジェネリック薬は、特許が切れたブランド薬と同じ有効成分を、同じ量で含み、体内での吸収も同等であることが国から認証されている。しかし、偽造ジェネリックは、そのような検査を一切受けていない。製造元は不明で、工場は地下にあり、パッケージは本物そっくりに作られる。2024年の国際薬品保安協会(PSI)の報告では、世界で6,424件の偽薬事件が確認され、2020年から38%増加した。特に、糖尿病治療薬のオズンペック(Semaglutide)や、ED治療薬、抗生物質、鎮痛剤が狙われやすい。
偽薬の特徴は、有効成分が0~30%しか含まれていないこと。ある研究では、アフリカで流通する薬の42%が偽物または品質不良品と判明した。日本でも、2025年8月にアメリカの税関がアジアから輸入されたオズンペックの偽物を押収し、アイオワ州の薬局が2万5千ドルの罰金を科された。つまり、正規の薬局ですら偽物が混ざっている可能性がある。
偽薬と本物の違い
本物のジェネリックは、FDAやEMAの厳しい基準をクリアしなければ販売できない。有効成分の体内吸収率は、ブランド薬の80~125%の範囲内に収まらなければならない。一方、偽薬はその基準をまったく満たさない。たとえば、オズンペックの偽物は、有効成分が全く入っていないケースが多かった。Redditでは、3か月間偽物のオズンペックを飲んでいたユーザーが「血糖値に一切変化がなかった」と投稿している。
パッケージも非常に精巧に作られる。信頼できる薬局のロゴ、バーコード、シリアル番号までもが再現されている。Trustpilotのレビューでは、68%の不満が「パッケージは本物とまったく同じだったが、効果がなかった」というものだ。外見だけで見分けるのは、ほぼ不可能だ。
偽薬がなぜ危険なのか
偽薬の最大の危険は、効かないだけでなく、体に害を及ぼす可能性があることだ。ナイジェリアでは、偽造のマラリア治療薬を飲んだ患者が肝臓損傷を起こした事例が報告されている。また、抗生物質の偽物は、体内に十分な薬が届かないため、耐性菌の発生を促す。世界保健機関(WHO)は、2050年までに年間1,000万人の死者が抗生物質の効かない感染症で出る可能性があると警告している。
偽薬は、正規のジェネリックがもたらす「安価で安全な治療」の価値を完全に破壊する。正規品はブランド薬の80~85%安くなるが、偽物は正規ジェネリックの30~50%安い価格で売られている。この安さに飛びつくと、命を犠牲にするリスクがある。
偽薬を避けるための5つの実践的な対策
- 正規の薬局から買う:オンラインで薬を買うなら、VIPPS(Verified Internet Pharmacy Practice Sites)の認証マークがあるか確認する。日本国内では、厚生労働省認可の薬局か、医師の処方箋が必要な薬局のみ利用する。
- 包装をよく見る:スペルミス、色の違い、ロゴのズレ、封印の不自然さに注意。本物のオズンペックペンは、ペン先に細かい刻印がある。偽物はこの部分が粗いことが多い。
- 製造元の認証システムを使う:ノボ・ノルディスクは「Verify Your Pen」というアプリで、オズンペックの本物を確認できる。2025年第三季度だけで210万回以上が認証され、そのうち1.8%が偽物と判明した。
- 薬の形や色を確認:正規のジェネリックは、形状・色・大きさが一定。偽物は、薬の色が薄い、形が崩れている、表面に凹凸があることが多い。薬を手に取って、光にかざして見てみよう。
- 個人輸入は絶対に避ける:「海外の薬が安い」と思って個人輸入する人が多いが、その90%以上は無許可の業者から来たもの。アメリカのFDAは、2023年9月から2025年1月までに2,465件のオズンペックやチルゼパチドの輸入を検査し、195件が法律違反で入国していた。
偽薬を見抜くためのチェックリスト
薬を受け取ったら、以下の項目を1つずつ確認しよう:
- パッケージに正規のメーカー名と製造国が明記されているか?
- ナショナル・ドラッグ・コード(NDC)番号が印刷されているか?(日本では医薬品医療機器総合機構の番号)
- 薬の色・形・サイズが、以前に使った正規品と一致しているか?
- 薬の表面に亀裂や変色がないか?
- 薬局が電話番号と住所を明示しているか?(オンライン薬局なら、実在する店舗があるか確認)
- 処方箋なしで売られているか?(正規薬は処方箋必須)
最新の対策と技術
2025年、FDAは高リスクジェネリック(特にオズンペックなど)の輸入検査を大幅に強化した。EUでは2019年から、すべての薬に安全機能(QRコードや特殊なインキ)を必須化。インドでも2023年から、有効成分の容器にQRコードを貼ることが義務化された。
ブロックチェーン技術を使った追跡システムは、15カ国で導入され、偽薬の発生率を22%下げた。Pfizerは164カ国の当局に偽薬検出訓練を提供し、3億2千万錠以上の偽薬の流通を防いだ。日本でも、2025年から一部の薬局で、スマホで薬のパッケージをかざすだけで本物か偽物かを判定できるアプリが導入され始めた。
偽薬に遭ったらどうするか
もし偽薬だと疑うなら、すぐに以下の行動を取ってください:
- その薬を保存し、包装を壊さないでください。
- 薬局に連絡し、購入履歴を確認してもらいましょう。
- 厚生労働省の「医薬品・医療機器等事故情報システム」(MedWatch)に報告してください。
- 偽薬の写真と購入先の情報を記録し、警察や薬事当局に提出。
2025年8月、南アフリカの警察は偽薬220万ランド(約2,000万円)を押収し、200人以上の患者が被害にあったと発表。その多くが、インターネットで「カナダの薬局」と称する業者から購入していた。偽薬は、どこからでも届く可能性がある。
今後のリスクと展望
犯罪組織は、AIを使って偽包装のデザインをより本物に近づけている。2027年までに、偽薬事件は年15~20%増加すると予測されている。特に、肥満治療薬やED薬、精神薬は、高価で需要が高いため、今後も狙われ続ける。
一方で、AIによる自動検出システムが開発され、2028年までに先進国では偽薬の発生率を40%減らせる可能性がある。しかし、低所得国では検査設備がなく、偽薬の割合は今後も10~15%にとどまるだろう。
大切なのは、安さに目を奪われないこと。正規のジェネリックは、ブランド薬の8割安くなる。それ以上安いなら、それは偽物の可能性が高い。あなたの命は、数千円の差で守れる。
偽造ジェネリック薬は、日本国内でも流通しているのですか?
はい、流通しています。特に、個人輸入や無許可のオンライン薬局を通じて、オズンペック、ED治療薬、抗生物質などが入国しています。2025年には、アメリカの税関がアジアから輸入された偽オズンペックを多数押収しており、日本でも同様の事例が報告されています。正規の薬局で購入すればリスクは極めて低いですが、ネットで安く手に入ると勘違いして個人輸入すると、偽薬のリスクが高まります。
偽薬かどうかは、見た目でわかるものですか?
非常に難しいです。最新の偽薬は、パッケージの色、ロゴ、バーコード、封印まで本物と完全に再現されています。信頼できる薬局で買ったとしても、包装がまったく同じでも、中身が違う可能性があります。見た目だけで判断せず、製造元の認証アプリやNDC番号の確認、薬の形状・色の変化をチェックすることが必要です。
オズンペックの偽物には、どのような危険がありますか?
オズンペックの偽物は、有効成分であるセマグルチドが含まれていないか、極めて少ない量しか含まれていません。これにより、血糖値が下がらず、糖尿病の悪化や合併症のリスクが高まります。さらに、一部の偽物には、肝臓や腎臓に有害な化学物質が含まれており、肝機能障害や急性中毒を引き起こす事例も報告されています。2025年8月には、アメリカの薬局で偽オズンペックを販売した業者が2万5千ドルの罰金を科されています。
偽薬を買った場合、返金や補償はされますか?
無許可のオンライン薬局や個人輸入業者から購入した場合は、返金や補償はほぼ不可能です。正規の薬局で購入した場合でも、偽薬が混入していた場合は、薬局側の責任となり、補償の可能性がありますが、多くのケースでは製造元の追跡が困難なため、実質的な補償は得られません。最も重要なのは、購入前に偽薬のリスクを理解し、正規のルートで買うことです。
偽薬を発見したとき、どこに報告すればいいですか?
日本では、厚生労働省の「医薬品・医療機器等事故情報システム」(MedWatch)に報告できます。薬の包装、購入先、使用経過を写真やメモで残し、オンラインで申請します。また、警察や消費者庁にも通報可能です。偽薬の流通を防ぐために、報告はとても重要です。2024年には、国際的なタスクフォース(IMPACT)が12,450件の報告を受け付けています。