Elimiteを検索したなら、知りたいのはひとつ。これは何に効いて、どう手に入れて、どう使えばいいか。ここでは最短ルートで答えにたどり着く。過度な前置きはなし。正規の情報をどう確認するか、実際の塗り方、家族への対応、入手の現実(国別)まで、一気にまとめる。期待値も現実的にいこう。疥癬(かいせん)は根気がいる。1回でかゆみがゼロにはならない。それでも、やるべき手順を外さなければ、きっちり終わる。
うちも保育園で流行った時期があって、蒼真の全身を丁寧に塗り込む夜を過ごした。要は段取りだ。正しい順番でやれば、家の中の不安は下がる。
何を探している?Elimiteの正体と“最短ルート”
Elimite(一般名:パーメスリン5%クリーム)は、疥癬(ヒゼンダニによる皮膚感染)の治療薬。米国では処方薬として承認され、首から下に塗る外用剤だ。頭皮や顔への使用は基本的に不要だが、乳幼児や高齢者では頭部も対象になることがある。頭じらみ用の1%パーメスリン(Nix等)とは別物。Elimiteは疥癬用の5%。ここ、誤解が多い。
まずは公式情報へ。最短の道は次の2本立てだ。
- 製品ラベル(米FDAの承認ラベル)で用法・禁忌・注意を確認する。製品名「Elimite(permethrin)5% cream」の処方情報(Prescribing Information)と患者向け説明書(Patient Information)が一次情報。
- 臨床ガイドラインで実際の使い方の“コツ”を補強する。定番はCDCのScabies Clinical Care、米皮膚科学会(AAD)、日本なら日本皮膚科学会の疥癬診療ガイドライン。
この2本で迷子にならない。SNSや掲示板の体験談は最後。まず一次情報で土台を固めるのが、時間の節約になる。
効能はシンプル。疥癬の原因ダニを殺すこと。かゆみを直接抑える薬ではない。だから、治療が成功してもかゆみは2〜4週間残りうる(いわゆる“ポストスカビーズ痒疹”)。ここで焦って塗り直しを乱発すると逆効果。医師と再評価して、必要なタイミングで2回目をする。
使用を避ける人は?パーメスリン(ピレスロイド系)にアレルギーがある人、成分に過敏症の既往がある人はNG。生後2カ月未満は通常は別治療(硫黄製剤等)を検討するのが世界標準。妊娠・授乳は多くのガイドが「使用可」に傾くが、まず医師に確認を。
入手の現実は国で違う。米国では医師の処方が必要。日本ではElimiteというブランド自体は一般的でない(未承認・流通限定)。個人輸入に走るより、皮膚科で診断と保険適用の治療(イベルメクチン内服など)を選ぶ方が早くて安全。家族内の同時対策もそこで段取りできる。

公式情報を確認して安全に使う(手順・チェックリスト・表)
ここからは“やることリスト”。処方を受けた直後に、この順番で動けば迷わない。
- 診断を確定する:皮膚科で疥癬と診断(ダーモスコピーや皮疹の分布、接触歴)を確認。かゆみの時間帯(夜間悪化、手指間の丘疹など)は重要な手掛かり。
- 家族・同居人の同時対応を決める:症状がなくても、密接接触があれば同時治療を勧めるのが定石(CDC/AAD)。施設入所者は全体対策が必須。
- 塗る前の準備:爪を短く切り、手指・足指の間、爪の間、手首、肘、腋、乳輪、臍、鼠径、陰部、殿裂、踵や足底までの“塗り忘れゾーン”を頭に入れる。指輪や腕時計は外す。
- 塗布:夜、清潔で乾いた冷えた肌に、首から下へたっぷり均一に。大人でおよそ30gが目安。小児は体表面積に応じて減らす。乳幼児や高齢者は医師の指示で頭皮・耳周りも対象。
- 放置時間:8〜14時間。その間は手を洗ったら塗り直す(特に指の間、爪周り)。朝になったら全身を洗い流し、清潔な衣類・寝具に交換。
- 環境整備:48〜72時間以内に触れた衣類・寝具・タオルは、高温洗濯(60℃以上)→高温乾燥。洗えない物は密封して3日以上隔離。掃除機をかける。
- 2回目のタイミング:多くのガイドは7〜14日後に再塗布を推奨(未孵化卵対応)。医師の指示に従う。痂皮型(重症)では回数が増えるほか、イベルメクチン併用が標準になる。
これだけやれば、家庭内の再感染ループはかなり断てる。塗る量がケチだと失敗しやすい。かゆみが残っても、24〜48時間で新たな虫体の動きが止まっていれば、治療自体は効いているサインだ。
よくある塗り忘れスポットの覚え方は“10か所ルール”。指股・爪周り・手首・乳輪・臍・腋・肘・鼠径・陰部・殿裂。ここを丁寧に攻める。
副作用はどうか。多くは軽度の局所刺激(焼けるような感覚、かゆみの一時悪化、発赤、乾燥)。通常は数日で落ちつく。接触皮膚炎を生じたら中止して受診。経皮吸収は非常に少なく、薬物相互作用は実質的に問題になりにくいとされる(FDAラベル)。
妊娠・授乳。臨床では第一選択として使われることが多い(CDC/AAD)。母乳への影響は限定的とされるが、授乳直前の胸部塗布は避け、授乳前に洗い流すなど運用でリスクを下げる。
価格と容量の目安(米国)。ジェネリックのパーメスリン5%クリームは、薬局や保険で大幅に価格差が出る。現金価格は数十ドル〜100ドル台にばらつく。成人1回分は30g前後。家族同時治療なら本数が要るので、処方時に必要本数を医師と確認しておくといい。
日本での実際。Elimite(ブランド)は一般流通していない。疥癬が疑わしいなら皮膚科へ。標準的にはイベルメクチン内服(体重あたり、1〜2週間後に再投与)が核。外用はクロタミトンや硫黄製剤を併用することがある。施設内集団発生では、同時スクリーニングと一斉投薬が鍵。ここは日本皮膚科学会ガイドラインに沿うのが安全だ。
チェックリストを置いておく。印刷でもスマホのメモでもいい。
- 診断の確証(医師の評価、接触歴)
- 家族・同居人の同時対応計画
- 必要本数の確保(成人1回約30g×回数×人数)
- 塗布のタイミング(夜〜朝8〜14時間)
- 塗り忘れゾーン対策(指股・爪・鼠径・乳輪・殿裂など)
- 衣類・寝具の洗濯スケジュール(高温洗濯・乾燥 or 密封)
- 2回目の予定(7〜14日後)
- 学校・保育園・施設への報告ライン
迷ったら、この“意思決定ルール”で判断する。
- かゆみが続く=失敗ではない。新しい丘疹の出現や、線状掻痕の拡大、家族の新規発症があるかで評価。
- 塗る量に迷うなら“多め”を選ぶ(30g目安)。薄すぎは失敗の定番。
- 接触者の誰かが未治療=再発の源。全員同時に。
- 乳幼児・妊娠・高齢・免疫不全=独断で使わず医師判断を先に。
主要ポイントをひと目で。下の表にまとめた。
場面/対象 | 推奨アクション | 根拠・目安 |
---|---|---|
成人の古典的疥癬 | 夜に全身(首から下)へ塗布→8〜14時間→洗い流し。7〜14日後に再塗布。 | CDC/AAD/FDAラベル。成人1回約30g。 |
乳幼児・高齢者 | 医師の指示で頭部・耳も塗布範囲に。量は体格に合わせる。 | 小児は体表面積で調整。生後2カ月未満は別治療を検討。 |
妊娠・授乳 | 使用可とされることが多い。授乳前に胸部は洗い流す。 | CDC/AADで安全性の経験蓄積あり。 |
痂皮型(重症) | 外用複数回+イベルメクチン内服併用。接触者一斉対応。 | 専門治療が必要。施設内は感染管理を厳格に。 |
環境対策 | 60℃以上洗濯・高温乾燥。不可なら密封3日+掃除機。 | ダニは宿主外で長く生存できない。ただし密接接触で再感染。 |
かゆみが残る | 2〜4週は様子見可。新病変や家族の新発症あれば再評価。 | ポストスカビーズ痒疹の可能性。保湿や抗ヒスタミン併用。 |
医療者向けの細かい話をひとつ。パーメスリンは疥癬では第一選択。頭じらみ用の1%は別製剤。剤形・濃度の取り違えが臨床現場でも起きる。処方時に“5%クリーム、全身塗布、再塗布時期”まで明記されているか必ず確認を。
出典の軸:FDA製品ラベル(Permethrin 5% Cream)、CDC Scabies Clinical Care(2024更新)、米皮膚科学会、(日本)日本皮膚科学会 疥癬診療ガイドライン。治療の要点と安全性はこれらが根拠。

その先にある疑問にまとめて回答(FAQ/シナリオ別の次の一歩)
よくある疑問を一気に解消しよう。状況別の“次の一歩”も添える。
Q1. 1回で終わらせたい。2回目は必要?
多くのケースで7〜14日後の2回目が推奨。卵に対する抜け漏れを潰すため。家庭内再感染が起きやすい環境ならマストだ。
Q2. どのくらいでかゆみが消える?
ダニ自体は初回でほぼ死滅するが、かゆみは2〜4週間残りやすい。新しい疹が増え続ける、夜間の線状掻痕が広がる、接触者に新規発症が出る--この3つがあれば治療再評価へ。
Q3. 頭や顔にも塗る?
原則は首から下。乳幼児・高齢者・免疫不全では頭部も対象にすることがある。自己判断はせず、医師の指示に合わせる。
Q4. 日本でElimiteは買える?
ブランド品としては一般的でない。個人輸入は品質・用量のリスクがつきまとう。日本では皮膚科で診断のうえ、保険適用の標準治療(イベルメクチン内服など)に乗るのが現実的。家族同時対応の指示も一括でもらえる。
Q5. 子どもに使える?
生後2カ月以上なら多くのガイドで使用可。塗り範囲は頭部を含めることがある。量は体格に合わせ、小児科・皮膚科の指示に従う。ベビーカーやチャイルドシートの布部分も洗濯・日光乾燥しておく。
Q6. 妊娠・授乳中は?
臨床経験上、選択肢として広く使われる。授乳前に胸部は洗い流す運用で安全側に。担当医と相談して決めよう。
Q7. 皮膚がヒリヒリする、赤い。
一時的な刺激はよくある。薄く塗り直すのではなく、十分量を“均一に”が基本。ひどい発赤・水疱・じんましんが出たら中止して受診。保湿と低刺激の石けんに切り替えるだけで楽になることも多い。
Q8. ヘッドライス(頭じらみ)にも使える?
Elimiteは疥癬用5%。頭じらみには通常1%パーメスリンの別製剤を使う。濃度違いの使い分けは厳守だ。
Q9. 塗る前にお風呂は必要?
汗や皮脂が多い日は軽くシャワーでOK。熱い風呂で血流が上がるとかゆみが悪化することがある。塗布は“乾いた冷えた肌”が塩梅いい。就寝直前がやりやすい。
Q10. 施設で集団発生。何から始める?
まず診断の確証(皮膚科の往診や連携)→発生線引き→同時一斉治療→環境整備→経過観察。痂皮型が1人でもいればハイリスク。外来処方だけで解決しない。感染管理の計画表を作り、一本化した指示で動かす。
Q11. 海外で処方された。日本で続きは?
処方内容(製品名、濃度、塗布回数)を持参して日本の皮膚科へ。乗り換えが必要でも、経過の読み替えが効く。環境対策は世界共通だ。
Q12. 再発を繰り返す。
“誰かが未治療”か“塗り忘れゾーン”のどちらかが原因のことが多い。指股・爪・鼠径・殿裂を重点的に。寝具の管理(洗濯・乾燥・隔離)を日割りでスケジュール化すると抜けが減る。
次の一歩(シナリオ別)。
- 家族に幼児がいる:塗布前にパジャマ・寝具を新しいものへ。塗布中はミトンや靴下で掻き壊しを防ぐ。翌朝はすぐシャワー。
- 妊娠中:診断確定を最優先。塗布後は胸部をしっかり洗浄。保湿と低刺激ケアで刺激症状を抑える。
- 高齢者・介護施設:全員同時の計画(シーツ交換、車椅子クッション、リクライナー)を一覧化。痂皮型がいれば専門医と併走。
- 免疫不全:早めに専門医紹介。外用+内服併用、回数の最適化、環境介入を強める。
失敗しやすい落とし穴も置いておく。
- 薄塗り・部分塗り:ダニは“境界”に残る。境目を作らない。
- 放置時間の短縮:夜〜朝のフルコースを守る。
- 環境対策の後回し:衣類・寝具の同時切り替えが鍵。
- 家族の誰かが様子見:全員同時にやって、終わらせる。
- かゆみ=失敗だと決めつけ:2〜4週は“残りやすい”。
医療者向けメモをもうひとつ。重症(痂皮型)は曝露密度が高く、作業量が跳ね上がる。外用剤のチューブ本数、皮溝・爪下のデブリドマン、角化へのアプローチ、居室の物品管理……段取り表を前日に作るだけで、当日の混乱は激減する。施設連絡票は1枚で全員同じ指示を。ばらつきは失敗の温床になる。
根拠を最後にもう一度整理。用法・禁忌はFDA承認ラベルが一次情報。実地の使い方と接触者管理はCDC Scabies Clinical Care(2024)と米皮膚科学会。国内運用は日本皮膚科学会のガイドライン。これだけで迷わない。
トラブルシューティング(困った時の短縮手順)。
- 翌朝の“かゆみ倍増”……一過性の刺激反応かも。保湿・冷却。昼過ぎまでに落ちつかない、紅斑が拡大するなら受診。
- 塗り忘れ発見(指の間など)……気づいた時点でそこだけ追加。翌日の再塗布は不要。次回に向けてチェックリストを強化。
- 家族に新規発症……全員の再評価。2回目の前倒し、同時施行、寝具の総入れ替えを検討。
- 皮疹が“別物”に見える……湿疹や蕁麻疹の合併を疑う。ステロイド外用や抗ヒスタミンで症状コントロールしつつ、ダニの活動サインを見極める。
最短で片づけたいなら、今日の夜に1回目、2週間後に2回目、家族同時、寝具同時。これで終盤戦まで行ける。やることは多いけど、順番通りにやれば勝てる。
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