ペットが人間の薬を誤って食べてしまったら、すぐに行動することが生死を分けます。アメリカの動物中毒対策センターのデータによると、人間の薬がペット中毒の原因の約28%を占め、米国だけで年間15万件以上が報告されています。特に犬が85%を占め、猫は15%ですが、猫は少量で致命的な反応を起こすため、注意が必要です。時間は命です。薬を飲んでから2時間以内に治療を始めれば、93%のペットが回復します。でも、そのためにまず、過剰摂取のサインを正しく見分けなければなりません。
抗うつ薬とADHD薬:急激に変化する行動と体温
ペットがプロザック(フルオキセチン)やレクサプロ(エスシタロプラム)などのSSRI系抗うつ薬を食べた場合、1時間以内に異常が現れます。体温が103°F(39.4℃)以上に上がり、震え、唸り声を上げ、壁にぶつかるように歩き回ります。これは「セロトニン症候群」と呼ばれる状態で、放置すると78%の犬がけいれんを起こします。猫にはエフェクサーやベナラフィン(SNRI)が特に危険です。1粒の37.5mgの持続放出錠で、肝臓が壊死する可能性があります。猫はこの薬の甘いコーティングを好んで食べるので、瓶ごと全部食べてしまうケースが63%もあります。
アドダールやコンサータなどのADHD薬は、さらに速く反応します。犬が15〜30分で心拍数が220回/分以上に跳ね上がり、体温は107°F(41.7℃)まで上昇します。通常の犬の心拍数は60〜140回/分なので、これは明らかに異常です。瞳孔が大きく開き、震えが激しくなり、落ち着きがなくなります。飼い主が「興奮しているだけ」と思って放置すると、命に関わります。この症状は、薬の種類によっては「落ち着かせようとしているのに逆に暴れる」という逆効果のパターンもあります。
NSAIDs(消炎鎮痛薬):内臓が徐々に壊れていく
イブプロフェンやナプロキセンなどの市販の痛み止めは、犬にとっても猫にとっても劇的な毒です。犬が50mg/kg以上を摂取すると、胃や腸の粘膜が溶け始め、2〜6時間で嘔吐が起こります。その後、便が黒くタールのように固くなる「メレナ」が現れます。これは消化管出血のサインです。24〜72時間で腎臓が機能不全に陥り、血液検査でBUN値が120mg/dL以上になります(正常は10〜25mg/dL)。この段階になると、治療が非常に難しくなります。
猫は犬よりもはるかに敏感です。5mg/kgで既に中毒症状が出ます。猫の体はNSAIDsを分解する能力が極めて低く、少量でも腎不全を引き起こします。飼い主が「犬なら大丈夫だから、猫にも少しなら」と考えるのは大間違いです。猫には、人間の痛み止めは絶対に与えてはいけません。
アセトアミノフェン(タイレノール):猫には致命的な毒
アセトアミノフェンは、猫と犬で毒性が全く異なります。犬は150mg/kg以上を摂取しないと肝臓に大きなダメージを与えませんが、猫はわずか10mg/kgで命を落とす可能性があります。なぜか?猫の肝臓には、この薬を無毒化する酵素がほとんどありません。そのため、体内で毒性の強い物質に変化し、赤血球の酸素運搬能力を奪います。
この状態を「メトヘモグロビン血症」といいます。猫の歯茎や粘膜が茶色や青紫色に変わり、息が浅くなり、力が入らなくなります。これは酸素が足りていないサインです。飼い主が「風邪かな?」と思って病院に行くのが遅れると、18時間後にようやく気づくケースがあります。その頃には、血液中のメトヘモグロビンが40%を超えていて、生存率は12%以下になります。
ベンゾジアゼピン(眠剤・不安薬):逆効果の反応に注意
アバンスやザイロックスなどの眠剤や不安薬は、犬では「鎮静」の効果が逆転することがあります。52%の犬が、むしろ激しく興奮し、攻撃的になり、走り回ります。これは「逆反応」と呼ばれ、飼い主が「薬が効いていない」と勘違いして放置する原因になります。猫はこの薬で肝臓が壊れるリスクが高く、ALT酵素が1,200U/L以上に上昇するケースも珍しくありません(正常は10〜100U/L)。
薬を食べたときの5分間チェックリスト
ペットが薬を食べた可能性があるなら、次の5つのチェックを5分以内で済ませてください。
- 薬の破片や容器の状態:床に薬のカスや空の瓶がないか確認。63%のケースで飼い主が実際に薬の痕跡を見つけています。
- 体温を測る:肛門で体温を測ってください。103.5°F(39.7℃)以上なら、刺激薬や抗うつ薬の可能性が高い。
- 瞳孔の大きさ:明るい場所で瞳孔が極端に開いていたら、ADHD薬の可能性が88%あります。
- 歯茎や粘膜の色:猫の歯茎が茶色や青紫色なら、アセトアミノフェン中毒の決定的なサインです。
- 症状が出始めた時間:何時に薬を食べたか、何分後に異常が出てきたかを正確に記録。時間は治療の鍵です。
間違えやすい症状と正しい見分け方
多くの飼い主が、中毒のサインを「普通の病気」と間違えます。ペットMDの調査では、68%の人が初期症状を誤解していました。
- 「震え」=「寒いから?」→ 実はADHD薬の中毒で、周波数は8〜10Hz(けいれんは2〜3Hz)
- 「元気がいい」=「薬が効いてない?」→ 実はセロトニン症候群で、異常な興奮状態
- 「お腹を壊しただけ」→ 実はイブプロフェンによる胃腸出血の前兆
正しい見分け方は、「症状の組み合わせ」です。たとえば、「体温上昇+心拍数増加+瞳孔拡大」が同時に現れたら、ADHD薬の中毒と94%の確率で断定できます。単独の症状ではなく、複数のサインが重なったときに、初めて危険と判断してください。
猫と犬の違いを理解する
猫と犬では、薬の代謝能力が大きく異なります。猫は、アセトアミノフェンやエフェクサーやベンゾジアゼピンを分解する酵素がほとんどありません。そのため、犬なら大丈夫な量でも、猫には致命的です。逆に、犬はNSAIDsの代謝が苦手で、少量でも腎臓や胃にダメージを与えます。薬の名前や量ではなく、「どの動物に何が危険か」を覚えておくことが、命を救う第一歩です。
すぐに行動するべきタイミング
薬を食べたことがわかったら、絶対に「様子を見る」のはやめてください。2時間以内に動物病院に行くのが最善です。薬を食べた直後なら、獣医師が活性炭を飲ませて薬の吸収を防げます。でも、症状が出たあとでは、すでに血液中に薬が回っているので、投薬や点滴、血液透析など、複雑な治療が必要になります。
日本でも、ペットポイズンヘルプライン(1-800-213-6680)やASPCAのアプリで、24時間無料の相談ができます。症状を伝えるだけで、獣医師が「今すぐ病院へ」と判断してくれます。迷ったら、電話してください。あなたの行動が、ペットの命を救います。
予防が一番の治療
薬を誤飲させないためには、家の中の薬をペットの手の届かない場所に保管しましょう。床に落とした薬は、犬がすぐ食べます。猫は、ベッドの上や洗面台の薬瓶に興味を持ちます。薬のボトルは、必ずキャップを閉めて、高さのある戸棚にしまいましょう。最近の薬は「苦みを加える」技術が進んでいますが、まだ普及していません。飼い主が自ら守るしかありません。
ペットが人間の薬を食べてしまったら、まず何をすればいいですか?
まず、何の薬を、どれくらい食べたかを確認してください。薬の名前、錠剤の形、残っている量を写真に撮っておきましょう。その後、直ちに動物病院かペットポイズンヘルプライン(1-800-213-6680)に連絡してください。自宅で無理に吐かせようとするのは危険です。獣医師の指示に従って行動してください。
アセトアミノフェンは猫にどれくらい危険ですか?
猫にとって、アセトアミノフェンは10mg/kgで致命的です。たとえば、3kgの猫が30mg(タイレノール1錠の1/3)を食べただけで、命に関わる中毒を起こします。肝臓が壊れ、赤血球が酸素を運べなくなる「メトヘモグロビン血症」を引き起こします。歯茎が茶色や青紫色になるのが特徴的なサインです。
犬がイブプロフェンを食べたら、どのくらいで症状が出ますか?
犬がイブプロフェンを食べた場合、1〜6時間以内に嘔吐が始まります。その後、便が黒くタールのように変化する「メレナ」が現れます。これは胃や腸の出血のサインです。24〜72時間で腎臓が機能不全になり、血液検査でBUN値が120mg/dL以上になります。この段階になると、治療が非常に難しくなります。
抗うつ薬(SSRI)の中毒で、犬にどんな症状が出ますか?
SSRI系抗うつ薬(例:プロザック、レクサプロ)を犬が摂取すると、1〜12時間以内に「セロトニン症候群」が現れます。体温が103°F以上に上昇し、震え、唸り声、興奮、目が覚めたような不自然な目つき、そして場合によってはけいれんが起こります。放置すると78%の犬がけいれんを起こし、命を落とす可能性があります。
ADHD薬(アドダール)を犬が食べた場合、心拍数はどのくらいになりますか?
犬がアドダールやコンサータなどのADHD薬を摂取すると、30〜60分で心拍数が220回/分以上に急上昇します。通常の犬の心拍数は60〜140回/分なので、これは異常なレベルです。同時に体温が107°F(41.7℃)まで上昇し、瞳孔が拡大し、激しい震えが現れます。これは緊急事態です。